見えない世界

物理がお嫌いなブログ読者のみなさん、ちょっとこんな実験をしてみてください。
職場や自宅にリモコンが1つや2つはあるでしょっ!
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デジカメかケータイをカメラモードにして、それに向かってリモコン操作してみてね~。
どう?光っているのが見えるかな~?デオッちは、リモコンの光がちゃんと見えますよ~!
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この眼で見たものしか信用しないっ!・・・という古典的なあなた、そう、あなたですよ。
我々が認識できる空間は実はものすごく限られた狭い空間なので、それを見るための「道具」が必要なんだよね。
加速器なんてものがどうして必要か?・・・ヒントになるかなぁ・・・。
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【見えない光を見る】
エアコンの温度調節やテレビのチャンネルを変えるときリモコンを使うよね。
リモコンのボタンを押せば、「赤外線」が発射されて、本体の受光部で感知して信号を読み取る仕組みなんだけど、リモコンからでる赤外線は、人間の目には見えない波長なので、「おっ、リモコンが光ってる!」と見える人はいないはずだ。
試しに自分に向けてリモコンを操作してみてみぃ・・・?

デジタルカメラとか携帯電話のデジカメ機能を使うと見えるよ~!
デジタルカメラはCCDという半導体光センサーの電気信号のパターンを、もう一度光に換えて「光の三原色フィルター」を通してモニター画像で見せているから、人間の視覚よりも少し広い波長域まで見せてくれる。
・・・つまり、赤外線の一部波長まで見えてしまう。
少し暗い夕暮れでもデジカメならちゃんと明るく写るでしょっ!
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実は人間も網膜という受光部の化学変化を電気信号に変えて脳に送り、脳が像として認識しているので、実像を見ている訳ではないんだ。

人間には「盲点」という網膜に受光部がない部分がある。
ではここで、その証拠を画面で確かめてちょ!
この下の画像のバラの花を、画面から35cmくらい離れたところで、片目を閉じて見てちょ。
近づいたり遠ざかったりして見てみると、ある距離で片方の花の像が消えるから・・・。
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花が消えたところが「盲点」だ。
ところが両目で見るとちゃんと消えずに見える・・・脳が画像処理しているからだ。

この脳の画像処理は、錯覚も引き起こす。
はいっ、今度は静止しているものが動いて見える・・・
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何度見ても、凝視しても、回転して見えてしまうよねぇ。
・・・人間の目は高度な情報処理をして、像を脳の中で作り上げている。
普通の人が見えない幽霊を見る人がいても不思議ではない。
・・・所詮、実像ではなく「虚像」なんだけど・・・。

猫は自由自在に瞳孔の大きさを変化させられて集光能力が高く、網膜に光増幅装置が「標準装備」されているから、暗闇でも人間の6倍程度は見えている。・・・夜行性だからね・・・。
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犬は赤色に対する反応が悪く、青と緑しか見えていない。ペットの犬が白内障で視力低下しても、見ているものはあまり変わりがないので、必要以上に悲しむことはないよ~。・・・本人(犬)は、何も困ってませんから・・・
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猫は人間と同じように色を見分けることが可能だが、人間ほど鮮明ではなく、パステル調だろうといわれている。
肉食動物の猫には「赤色の果物」より「ねずみ色の生物」の識別能力が必要なので、「ねずみ色」を識別できれば生きていくのに不自由はない。
人間が赤を識別できる能力を発達させたのは、熟れた果物を見つけるためだという説がある。
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ヘビは色を見分けることはできないが、目にはピット器官(赤外線スコープ)というものが備わり、熱の温度を感知することができる。
リモコンの光は犬や猫にあてても何の反応も示さないが、ヘビにあてると飛びついてくるので要注意!・・・あはは、そんなことしないかぁ・・・。
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・・・おいおい、ヘビの抜け殻で遊ぶなって・・・!

ここからもちょっと物理の話になるけど・・・
見えないものを見るのは、何も光だけではない・・・光の波長より小さいものは像として写らないしね。
物理が楽しいのは、見えないけど世界観がひろがることなんだろうなぁ・・・。

【世界は何からできているか?】
光は、光子(Photon)という電磁相互作用を媒介する「ゲージ粒子」のひとつ。
「ゲージ粒子」とは、電磁気力を伝える光子(Photon)、重力を伝えるヒッグス、弱い力を伝えるウィークボソン、強い力を伝えるグルーオンの、4つのタイプの素粒子の総称のことだ。
素粒子とは、物質を構成する最小の単位のことででそれより小さな存在がない・・・つまり内部構造を持たず空間的な大きさを持っていない。
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我々が住む宇宙(世界)は、素粒子で構成されている。
物質粒子
力を与える粒子
質量を与える粒子
 
・・・の3つのタイプの素粒子がある。

物質粒子は6種類のクォークとレプトンが発見されていて、それ以外はもう存在しないようだ。
力を与える粒子は、ウィークボゾンと呼ばれる粒子が発見されている。
質量(重力)は、ヒッグス粒子(重力子)の存在が予言されているが、まだ発見されていない。
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ヒッグス粒子が自由に動き回れる高エネルギー状態を作れなかったから観測できなかった・・・ということだ。だから今、赤外線を感知できるデジカメのように、人間が観測できる道具として、現在計画中の大型高エネルギー加速器(東海村にあるヤツね)が完成近い。
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加速器では、到達可能なエネルギー(温度)は、1兆度のそのまた1万倍の温度にもなる・・・ビッグバンから始まった宇宙年齢にして、10兆分の1秒(10-13秒)の時代を実験室内で再現しようとしている訳だ。・・・ヒッグス粒子が発見(観測)されるかもね。

【宇宙と空間の始まり】
宇宙という空間は、質量を持つ目に見えないダークマター(暗黒物質)の存在が無ければ、宇宙が加速膨張していることや、銀河のような巨大な円盤構造が、中心も外周も同じ角速度で回転していることの説明がつかない。
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重力が空間そのものを作るし、時間を作る・・・アインシュタインが発見した理論ね。
・・・時間というのは観測として我々が認識している物理量なので、重力を作りだす素粒子の観測には時間や時刻、位置や空間の概念は、あまり意味がないんだけど・・・。
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ニュートンは木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いつき、アインシュタインは、屋根から落ちる人間が重力を感じないだろうと想像して「相対性理論」を思いついた。
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宇宙の無限の果ては何処にあるか?と疑問に思ってる方・・・いませんか?
宇宙の果ては限り無く光の速度に近いスピードで膨張しているから、長さは限りなく0で、質量は無限大に大きい。・・・そんなところからは光も飛んでこないから観測のしようがない・・・
そのあたりまで人間が行けたとしても、今度はこちらの世界が限りなく長くて遠いところにあることになるから位置が確定できないことになる。一般相対性とはそういうものだ・・・
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光子(Photon)は、質量や電荷がなく、崩壊寿命のない安定した素粒子であるため、宇宙の果てから何億年もかけて飛び続けることができる。
現在観測されているのは150億年前の光が最も古い・・・宇宙の歴史は150億光年とされている。
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ビッグバンと呼ばれる宇宙の初期の状態では、すべての素粒子は自由に動きまわる。
ところが、「自発的対称性の破れ」が生じて真空に「相転移」が起こり、素粒子がそれにあたって抵抗を受け、素粒子の動きにくさ・・・すなわち質量となる。
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「自発的な対称性の破れ」による相転移という概念は、超伝導状態を説明するために考え出された理論なんだけど、スピン1/2の電子が、対を作ってスピン1の「ボソン」粒子として空間に凝縮して存在しているのが、現在の宇宙の真空状態であり、真空の空間にヒッグス粒子が凝縮していると考えられている。・・・ちょっと難しいかな?
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「対称性の自発的な破れ」というのは、たとえば削った鉛筆の先の方を下にして机の上に立てると、鉛筆は間違いなくどちらかに倒れる。

どんなにうまく立ててもそうなるのは、その状態(系)が「誤差を増幅する」という方向にあるからだ。
数学的には、鉛筆の先の真上に重心があれば、どちらにも倒れないが、少しでも力が加わり重心がずれると、鉛筆の先と重心をどんどんずらす方向に力が加わって行き、鉛筆を倒してしまう。
これが「自発的対称性の破れ」である。

どんな初期条件でも、自ら持っている「非対称性」が時間の経過で大きく増幅されるので「自発的」と表現される。・・・ここまではいいよね?

【エネルギーの詰まった真空という空間】
従来の理論では、真空は最もエネルギーが低い状態として定義されてきたが、1970年代の「場の量子論」の進歩で、真空の「基底状態」は温度によって変化することが明らかとなった。
ビッグバンのように高温から冷えていく過程で、以前よりもエネルギーの低い状態へと「相転移」を起こすのである。
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ちょうど水が冷えて氷になるように、状態が一気に変る。
例えばバネで支えていた台が、高温状態が生み出していた支える力を失って、ガクンと崩れるようなもので、それまで振動していなかったバネも動き出すことになる。
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ビッグバンは、こうした「相転移」と共に発生した現象として研究されている。
宇宙初期にはエネルギーの高い不安定状態から低い安定状態へと真空が少なくとも2回以上は相転移したと考えられている。

粒子がひとつもない状態が真空なんだけど、ヒッグス場の期待値はゼロでない値を持ちうる。
それを「真空期待値」というが、「ヒッグス場」がゼロでない値をもっていることは、電子に質量のあることの原因でもある。

【物質はエネルギーである】
原子核の周りの電子のやりとりといった「化学反応」によるエネルギーは、原子核の陽子や中性子の結びつきを増減させる核分裂や核融合のエネルギーと比較すると、ものすごく小さい。
原子核がゴルフボール大だとすれば、パチンコ玉の大きさの電子は、1000km以上離れた軌道を光速で移動している。あっはっは、徳島からだと札幌のパチンコ玉を振り回しているようなものだ。そんなパチンコ玉を1個取ろうが2個にしようがエネルギー量は小さい。
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ところが、強い力でくっつきあっている原子核の質量が減少(崩壊)すれば、核分裂反応として莫大なエネルギーが発生する。
このエネルギーは既に、原子力発電として一般的に利用しているし、「自発的な対称性の破れ」による相転移という「超伝導状態」も利用している。
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電気抵抗が0になる現象を利用して、電力を消費せず磁力で推進するリニアモーターとして実用されている。
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レールに敷いた永久磁石の代わりに地球そのものの磁力を利用して推進力を得られる電磁誘導船は、日本が開発し実用化したが建設コストが高すぎて就航していない。
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加速器の技術がもっと進歩すれば、真空からエネルギーを産み出すことも夢ではないのかも?・・・ま、現在の科学レベルでは、遠い遠い、SF映画に出てくる宇宙船の動力だけど・・・

宇宙背景放射を詳細に観測するNASAの探査計画で2001年に衛星が打ち上げられ、2003年に観測解析結果が発表された。
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宇宙のエネルギーはダークエネルギー73%とダークマター23%、通常物質4%で占められることがわかった。
宇宙にある物質は、目に見える物質とダークマターを合わせた量で、内訳は通常物質が15%、ダークマターが85%である。
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物理学の目標は、別々の理論で説明され4つの力(重力、電磁気力、弱い力、強い力)を、1つの理論で統一して扱うことだ。
4つの力は、よく知られた重力と電磁気力、粒子が崩壊するときに働く弱い力、グルーオンという粒子を結びつけたり中性子や陽子を結び付けている強い力である。
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今までのところ、電磁気力と弱い力を統一することに成功している。
SUSY粒子が、電弱力と強い力とを統一するために必要だと考えられている。
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上が私たちの世界を作る素粒子で、現在はヒッグス粒子を除いて全て観測されている。下がSUSY粒子である。

宇宙は「真空のゆらぎ」から生まれ、インフレーションと呼ばれる急激な膨張により、過冷却状態になったと考えられている。
その時、真空に蓄えられたエネルギーが急激に開放され、宇宙は熱い火の玉のビッグバンになり、現在も膨張を続けている。

この「真空のゆらぎ」がなぜ存在したのか、インフレーションを引き起こし、宇宙誕生の原動力となった力は何なのか、現在の科学では知る由もない。

どのような宇宙や真空の対称性が存在し、それが約150億年もの間の自然法則をいかに作っているのか?・・・それが高エネルギー加速器実験の実験目標である。

宇宙の進化の歴史は、物質の進化の歴史であると同時に、力の進化の歴史でもある。

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